鼻の症状について
鼻には主に3つの大切な役割があります。
息を吸ったり吐いたりする空気の通り道(気道)、においを感じる(嗅覚)、声をはっきり伝える(共鳴器官)という3つの働きです。鼻は優秀な加湿フィルターでもあり、鼻から吸い込んだ空気は加温加湿され、塵を取り除いてから体の内部に運ばれます。
鼻がつまったり風邪をひいたりした時に感じる、息苦しさやにおいの変化、鼻声などの症状は鼻の働きが正常に行われていないために起こるものです。異変を感じたら放置せず早期に耳鼻咽喉科を受診しましょう。
こんな症状・お悩みはありませんか
鼻がつまる
鼻水が出る
くしゃみが出る
においがしない
鼻血が出る
鼻がくさい
鼻水がのどに流れる(後鼻漏)
代表的な鼻の病気
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副鼻腔炎(蓄膿症)(ふくびくうえん・ちくのうしょう)
鼻の周りの副鼻腔と呼ばれる4つの空間内で炎症が起きている状態を「副鼻腔炎」といいます。慣習的には「蓄膿症」と呼ばれることもあります。
代表的な症状として、鼻づまり、ドロっとした匂いのする鼻汁、頬・鼻周囲・額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱などがあります。さらに慢性化すると、鼻づまり、粘性の鼻汁、頭重感、匂いがしないなどの症状が続きます。
副鼻腔炎は鼻内視鏡やレントゲン、CT検査をしないと詳しい診断ができません。抗生剤投与、マクロライド少量長期療法やネブライザー療法が治療の基本となります。もし手術が必要な場合は適切な医療機関をご紹介させていただきます。長引く鼻の症状がある場合は、どうぞご相談ください。 -
アレルギー性鼻炎(あれるぎーせいびえん)
本来異物を体内に入れないための鼻内の防御機構が病的、かつ過剰に起こる病気を「アレルギー性鼻炎」といいます。
抗原(体が異物と認めた物質)が鼻から入ってくると、アレルギー反応を起こし、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状が発現します。抗原になりやすい物質として、ハウスダスト、ダニ、スギやヒノキを代表とする花粉、犬や猫などのペット、カビなどがあります。
治療の原則は原因物質の排除ですが、実際には困難なことも多いです。そのため内服薬や点鼻薬で症状のコントロールを行うことを基本として、必要に応じて手術療法、アレルゲン免疫療法や舌下免疫療法などの治療法を行う場合もあります。詳しくはご相談ください。 -
嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)
風邪やアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などにより、においがしなくなった・または低下した状態を「嗅覚障害」といいます。
嗅覚障害が疑われる場合、鼻の中の観察、必要に応じてレントゲン検査やCT検査などを行います。嗅覚障害の程度は、においのあるアリナミンの注射薬を静脈注射や何種類かの違った臭いを異なる濃度で嗅いでもらって判定します。
嗅覚障害の治療の基本は原因となっている病気を治療することで、鼻の処置、投薬、手術などが行われます。嗅神経付近へのステロイドの点鼻も効果的ですが、長期間使うと副作用が出ることがあるので、様子を見ながら治療を行います。 -
鼻出血症(びしゅっけつしょう)
いわゆる鼻血のことを医学的に「鼻出血」といいます。
鼻の中は、柔らかく弱い粘膜でできていて浅い場所に血管がたくさんあるため、出血すること自体は珍しいことではありません。鼻をさわる、かむ、くしゃみなどの刺激、アレルギー性鼻炎などの炎症による鼻粘膜の傷害などを原因とするものがほとんどです。ただし、鼻出血を頻繁に繰り返す場合や30分以上血が止まらない場合には他の疾患が隠れている可能性もあります。その際は耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を行いましょう。 -
上顎がん(じょうかくがん)
鼻腔の脇にある上顎洞という副鼻腔から発生するがんが「上顎がん」です。
原因のひとつとして、重症の慢性副鼻腔炎が長年放置されると発生しやすくなると考えられており、医療の進歩により上顎がんは減少しつつあります。症状はさまざまで、鼻づまり、悪臭のある鼻汁、鼻出血、歯痛、頬の腫れ、視力障害などの症状が見られます。とくに左右の片側だけにこれらの症状があるときには、要注意です。CTである程度の見当が付くこともあります。一般的な治療法として、抗がん剤、放射線、手術の3つを併用します。